東武東上線沿線で調剤薬局を展開している株式会社パル・オネストの薬剤師社員です。
漢方と聞いてもどうやって治していくかイメージがわかない人も多いかと思います。
西洋医学では細胞レベルでの治療になりますが漢方は身体全体を一つととらえて崩れている
身体のバランスを整えてもともと備わっている自然治癒力を高める事が治療のポイントになります。
自然治癒力を最大限に引き出す治療なので新薬に比べて副作用は少なくなります。
ではどのようにして崩れているバランスを見ていくかといいますと「弁証論治」になります。
弁証は診断になります。望診、聞診、問診、切診を行い崩れている部分を探していきます。
次に診察が終われば治療方針となりますが、これが論治になります。
ちなみに切診は脈診と腹診がありますが薬剤師は診察行為で身体には触れられないので
薬剤師がやっている漢方薬局では望診、聞診、問診だけになります。
ここまでみて漢方はその人に合ったものが選ばれます。
漢方薬は弁証論治で治していく
漢方と聞いてもどうやって治していくかイメージがわかない人も多いかと思います。
西洋医学では細胞レベルでの治療になりますが漢方は身体全体を一つととらえて
崩れている身体のバランスを整えてもともと備わっている自然治癒力を高める事が
治療のポイントになります。
自然治癒力を最大限に引き出す治療なので新薬に比べて副作用は少なくなります。
ではどのようにして崩れているバランスを見ていくかといいますと「弁証論治」になります。
弁証は診断になります。
望診、聞診、問診、切診を行い崩れている部分を探していきます。
次に診察が終われば治療方針が決まりますがこれが論治になります。
ちなみに切診は脈診と腹診がありますが薬剤師は診察行為で
身体には触れられないので薬剤師がやっている漢方薬局では
望診、聞診、問診だけになります。
ここまでみて漢方はその人に合ったものが選ばれます。
それでは実際はどのようにして診断(弁証)されているか。
よく使われる方法として八網弁証があります。
これらは陰⇔陽 表⇔裏 寒⇔熱 虚⇔実と4組の相反するものからなっています。
表裏とは病気がある場所をさしています。
表はまだ病気が浅い部分にいるので急性期の症状のイメージです。
裏は進行して病気が奥まで来ているので慢性的なイメージになります。
寒熱は病気の性質で寒は生理機能の低下を表しており、熱は機能が亢進していていることを
表しています。
虚実は病気の盛衰と身体の正気の強弱を表しています。
陰陽はこれらの総括で 裏、寒、虚は陰に表、熱、実は陽に属しています。
ちなみに表⇔裏 寒⇔熱 虚⇔実これらの組み合わせが8組になるので八網弁証と言われています。
これらをとらえて診断していきます。
風邪の症状を例に漢方がどう効くか?を解説
前回の考えをもとに時期的にはずれていますが「風邪」をひいた時を考えてみたいと思います。
皆さんも風邪をひいた時に漢方と言えば「葛根湯」を思い浮かぶ人は多いと思います。
実際に葛根湯は風邪によく使われますが全ての風邪の症状に効果があるかと言えばそれは違います。
事実こじれていて葛根湯を服用したがよくならないので診察してもらったなどの話も患者様から聞きます。
ではどのような時は葛根湯なのか?八網弁証をもとに考えていきたいと思います。
前に、「表⇔裏」は病気のある場所を指していると書きましたが風邪の邪気がまだ侵入したばかりで表面にいるのが「表」、そこから中に入って進行している状態は「半表半裏」さらに進行すると「裏」になります。
次は「寒⇔熱」です。
風邪で悪寒がする、透明な鼻水や痰などが出ているときなどは「寒」と考えます。
これとは反対に体がほてっていたり、鼻水や痰は黄色いものが出ているときは「熱」と考え「表」の状態では発汗していき「寒」であれば体を治すのが治療になります。
葛根湯は表寒証の漢方になるのでこれらの症状の時に使われます。
葛根湯は麻黄が入っているので発汗作用は強く、もともと汗かきや体力がない方には向いていません。
このときは葛根と麻黄をぬいた桂皮湯などがお勧めです。鼻の症状がひどくつまっていれば葛根湯加川芎辛夷、垂れてくる鼻であれば小青竜湯がお勧めです。
葛根湯を例に挙げて考えてみましたが風邪=葛根湯ではよくならい場合もあり証が間違えていれば悪くなることもあります。
まずは病気の状態をしっかりとらえて漢方を飲むことをお勧めします。
漢方の五行説
次に五行説のお話をします。漢方を選ぶときもよくつかわれる考え方ですが身近な所でもその考え方はあるのでご紹介いたします。
7月と言えば「土用の丑の日」、よく聞いていると思いますが皆さん意味はご存知ですか?
お恥ずかしい話ですが私も小さいころは土曜と勘違いしていました。
「土用の丑の日」ここに五行説が関係しています。
まず五行説とはすべてのものは「木・火・土・金・水」の5つの属性に分類できるという考え方です。先程お話しした「土用の丑の日」はどう関係してくるかというと、まず季節を五行説の考えでとらえていきます。
季節は4つで五行説は5つなので土はそれぞれの季節の終わりに割り当てました。(土用は夏だけではなく年に4回あることになります)
春-木 夏-火 秋-金 冬-水 土用-季節の終わりの18から19日間 これである程度1年を均等に分けることができています。
土用は立春、立夏、立秋、立冬の前の日までになります。立秋が8月7日なのでその土用の入りは7月19日になります。
丑の日とは十二支を1日ごとに割り当てるので12日毎にやってきます。それらを考えていくと今年の「土用の丑の日」は7月27日になります。
このように考えていくと丑の日が2回くることもあります。(二の丑)また土用自体は年4回あるので丑の日もそれぞれにあります。
ですが鰻を食べる習慣があるのは夏の土用の丑の日だけだそうです。
漢方はどう選ぶか?
熱暑が終わったあとの残暑の季節には、食欲が出ない、下痢しているなどでお悩みの患者様が薬局にも多くいらっしゃいます。
日本の夏は高温多湿の気候なので少し体を動かしても汗が出ます。汗はかきますが体温の発散が十分でない為、熱がこもり体力が消耗していきます。この結果余分な水分が体だけでなく胃腸にもたまり胃が重い、もたれる、胃が張った感じがする、食欲が出ない、消化吸収も悪く下痢や腹痛を起こしやすくなります。
このような場合どんな漢方薬を選べばよいのか?
前回の五行で考えていくと関連する臓器は「脾」になります。(東洋医学では五臓六腑で体をとらえていきます。ことわざなどでも使われているので言葉は聞いたことがあるかと思います。)
この「脾」が弱っているすなわち脾虚と考えて漢方は選びます。
代表的な漢方薬で「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」があります。
食欲がなく、下痢をする、夏痩せしやすい方にお勧めです。
(他にも使われる漢方薬はありますので服用する際は専門の医師、薬剤師にご相談してください。)