高尿酸血症の食事療法

東武東上線沿線調剤薬局を展開している株式会社パル・オネストの薬剤師社員です。

高尿酸血症の定義

高尿酸血症は、血液中の尿酸の濃度が正常を超えて上昇した状態です。この状態が持続すると、尿酸は体液中に溶けきれずに結晶化して、尿酸塩沈着症(痛風関節炎や腎障害など)の原因になります。高尿酸血症は体液中で溶解度をこえる尿酸血症の濃度であり、7.0mg/dlを超えるものと定義されています。血清尿酸値の管理目標は6.0mg/dl以下の維持であり、血清尿酸値が8〜9 mg/dlを超えている場合には食事療法、運動療法に加えて薬物療法も開始します。


1、高尿酸血症の食事療法

高尿酸血症や痛風の原因物質である尿酸は、「プリン体」と呼ばれる物質が代謝されて生じる最終産物です。100gあたりプリン体を200mg以上超えるものを高プリン食と呼び動物の内臓、魚の干物などがあげられます。
入院患者以外の高尿酸血症の食事療法は,高プリン食を極力避け、「1日に400mgを超えないようにするのが現実的」であり、100gあたりの食品中のプリン体含有量よりも、摂取エネルギーの制限や栄養バランスを考えた食事指導により、肥満の解消や合併症の予防を目指すことが重要です。


2、飲酒制限

アルコール飲料は、プリン体の有無に関わらず、それ自体に血清尿酸値を上昇させるため、過剰摂取を慎んでください。
プリン体を多く含む食品として有名なのがビールです。ビール大瓶(633ml)一本当たり約50mgのプリン体を有します。一方、発泡酒は麦芽の使用量が低く、プリン体はビールの1/2〜1/4です。発泡酒に比べて、さらにプリン体を5〜9割カットした商品があります。
アルコール飲料の適量は個人差が大きく、高尿酸血症の患者さんへの指導において具体的に同程度のアルコール量まで摂取が許されるかの指標はありませんが、「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、高尿酸血症は日本酒一合(180ml)、またはビール500ml、またはウイスキー60mlより現れるとしているので参考にして下さい。また同ガイドラインでは週に二日以上禁酒することとしています。


3、尿路結石の食事療法

尿路結石は尿中の尿酸、CaやMgなどが腎臓で結石となり、尿管や膀胱などに詰まって激しい痛みを起こす疾患です。原因については不明な部分が少なくはありませんが、痛風患者では尿路結石の発生率が高いです。尿路結石の中でも圧倒的に高いのがシュウ酸Caとリン酸Caを主成分とするもので、高尿酸血症患者さんに見られる尿路結石は尿酸結石よりもシュウ酸Ca結石のほうが多いです。
シュウ酸Ca結石の形成には尿中のシュウ酸が深く関わっており、同結石の既往歴のある患者さんでは、ほうれんそうや竹の子、チョコレート、緑茶・紅茶などシュウ酸を多く含む食品の摂取を控えるようにして下さい。従来、シュウ酸Ca結石の再発はCa濃度と相関すると考えられており、Caの摂取制限がされていましたが、Ca摂取量が多いほうが結石発生頻度の低いことが明らかになり、現在はむしろCaを多めに摂取することが勧められています。
また水分摂取は結石成分がなんであれ、尿路結石の再発予防法の第一に挙げられます。これは尿中の結石形成成分の濃度を低下させるのに加えて、尿の流れをよくするためであり、普通の2倍以上の水摂取し、尿量を2L/日以上にしてください。

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